ごま油の話(第10話)

ごま油の話(第10話)

前回の続きです。

 

 

売り上げ目標を捨てた事件!

 

自分をコーチングし続けて、
お金を稼ぐという目標は達成できるようになった僕。

お金は稼げるようになったけど、

「なんか、健康食品売ってた時とあんまり変わらないな」
「金金金金って、結局俺ってそういう人間なのかな」

「でも、やっぱりもっと稼がなきゃ!」
「なんでかわからないけど、もっと稼がなきゃ!」
「誰だかわならないけど、誰かを見返さなきゃ!」

そんな感じでした。

今思うと、ほんと、つまんないやつだなーって思います。

この頃でした、
なぜか僕はコーチから呼び出されました。

そして、こう言われたんです。

「もうさー、中野さんが稼げるのはわかったからさー、やりたいことやったら?」

「今の中野さんはさー、なんかセクシーじゃないよー」

「そんなことやりたかったんだっけー?」

「誰の役に立ちたいんだっけ?誰に喜んで欲しいんだっけ?」

あれ、

あれあれあれあれ、

僕、なんかそんな大事なこと、忘れちゃってたの?

そんな感じでした。

それから僕は、いったん売上目標を捨てました。
お金はもらえるけど、
自分の人生の目的と合致しない仕事を捨てました。

とにかく、
自分は何がしたくて、
それで誰の役に立てるんだろう、
誰を喜ばせられるんだろう、
ということをもう一度考え始めました。

そんな、2015年4月。

この頃、気づいたことがあります。

それは、
「お金が欲しい、という思考が貧しさを生んでいる」
ということ。

世の中には、お金を稼げればなんでもいい、
という人がいます。
まあ、結構多いと思います。

だけど、お金って、結局なんなのでしょう?

 

 

100兆ジンバブエドル

お金は、
自分が世の中に与えた影響の対価です。
つまり、影響の価値そのもの、ということですね。
逆に言えば、お金そのものはただの数字であって、
特に価値はない、ということです。

どんなにお金があっても、
買うものがなかったら、使うところがなかったら、
なんの価値も持たない紙切れになりますよね。
邪魔なだけです。

ジンバブエなんか、一時期そんなふうになっちゃった時代がありましたよね。
ハイパーインフレっていうんですけど。

この国はとんでもないインフレ、つまり物価上昇をして、
普通のお札じゃ対応しきれなくなって、
一番ひどかった時は、100兆ジンバブエドルっていうお札があったんです。

一枚のお札にゼロ14個(笑)

なんでそんなお札が生まれたのかっていうと、
物価が上がり続けてしまって、
普通の日常的なお買い物に、両手いっぱいの札束を抱えて
持ち歩かなきゃいけなくなっちゃったからです。

不便でしょうがないですよね。
だから、新たにゼロを増やしたお札を発行して、
ということを繰り返しているうちに、
100兆ジンバブエドル札。

ゼロの数が豊かさの象徴とか、
月収が何桁とか、
なんか、くだらないなって思いませんか?

ちなみに確か、
コーラ一本買うのに、
100兆ジンバブエドル札が1000枚だか2000枚だか必要だったらしいです。

これって、物価上昇って言うんじゃなくて、
お金そのものが価値を失った、って言うんですよね。

しまいには、ジンバブエは、
ジンバブエドルを公式な通貨として廃止しました。

手元にあった札束全て、
本当にゴミになりました。
すごい状況ですよね。

しかも、
そのジンバブエの状況って、
たった一人の大統領の暴政が招いたんですよね。

100兆ジンバブエドル札。
日本円で0.3円の価値です。

その100兆ジンバブエドル札は、
ピン札だとヤフオクで1万8千円で売ってます。
もう、わけがわからない。

 

 

アインシュタインの名言への誤解

と、なんでこんな話をしているのかというと、
お金そのものは価値をもっていない
ただの数字なんだってことを伝えたいからなんですけどね。

価値そのものは価値を持っていなくて、
それはただの媒介である、
ということを伝えたいんですけど、
こういう概念的な話ってなかなか伝わりにくいですかね。

でも、
そこが飲み込めると、
お金のことで悩むことがなくなるし、
ビジネスが勝手に上手くいき始めます。

そうそう、
こんな考え方もできます。

例えば、
あなたのセッションが60分1万円だとしたら、
その1万円で洋服を買う時、
あなたは1万円というお金で洋服を買ったんじゃなくて、
洋服と、60分のセッションという労働(時間、影響力)を交換しただけ、
ということです。

お金はその間に媒介として挟まっただけ。

こういうと、お金そのものには価値がない、
という感覚が伝わりやすくなるかもしれないですね。

アインシュタインは、
「人類最大の発明は複利である」
という言葉を残しました。

これ、自己啓発系やビジネススクール界隈で、
全く違う意味で取り上げられている言葉ですので、
気をつけてくださいね。

この言葉は、
「お金でお金を買うことでお金をどんどん増やしていける」
みたいなことを意味しているから、
どんどんお金を増やす投資をしましょう!

という意味で使われることが多い言葉です。

でもこれ、
もともとは資本主義経済が産み出した弊害に対する皮肉を
アインシュタインがユーモアを込めて言った言葉なんです。

つまり、そんなことでお金を増やすことを勧めているわけじゃないんですよ。

お金は媒介。

ただの媒介を欲しがっているから、
虚しくなって、心が貧しくなるんですよね。

だから、
お金を稼げればなんでもいいという思考そのものが、
とにかくお金を欲しがるその思考そのものが、
貧しさを招いているんです。

いくら稼ぐかは、どうでもいい。

それよりも、
その稼いだお金で何をしたいのか。
何を手に入れたいのか。
何を成し遂げたいのか。

稼いだお金は、
それらに形を変えるまでの、ただの仮の姿です。

仮の姿を欲しがっても、しょうがないですよね。

 

 

しょうもなかった僕でも

もっと言うと、
その稼いだお金で、
誰をどんなふうに喜ばせることができるのか。
もちろん、それは自分を含めてです。

それに、社会的な意義や価値があれば、
自然と社会の追い風が吹きます。

自分がこういう生活をしたいから稼ぎたい。
それももちろんいいと思います。
僕だってそういう思いで稼いでいます。

僕の場合はそれ以上に、
一文無しで借金まみれだった僕を救って、
お金を貸してくれて、コーチングの勉強を受けさせてくれた、
僕のパートナーを喜ばせたい。

親にも楽させたい。
今はまだ、家をあげることくらいしかできてないけど。

お客さんにもどんどん還元したい。
僕を豊かにしてくれるのはお客さんだから。

そして、
こんなしょうもなかった僕でも生き続けさせてくれた、
社会に何かを還元したい。

そんなふうに思うようになりました。

 

(続く)

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