ごま油の話(第8話)

ごま油の話(第8話)

 

前回の続きです 

QUOカードをもらう日々

 

2013年、32歳の時のことでした。

「ごめん、今月の給料が出ない」

僕は、路頭に迷うことになりました。

一文無し。
借金◯千万。
中卒。

いやー、参った。
この時はさすがに参りましたね。

この日から僕はしばらくパートナーのヒモになりました。

パートナーの家に転がり込み、
家賃も払わず、食費も収めず、
というか、食費をもらいながら生きていました。

なぜかパートナーがたくさん持っていたQUOカードを、
少しずつもらって食いつないでいました。

このころは、いろんなことに挑戦しました。

まず最初に始めたのが、ネットワークビジネスでした。

実は最初のうちはまあまあ上手くいきました。
というのも、
おそらく健康食品の営業をしていたから
トークができたのと、商品知識があったからです。

でも、続きませんでした。
やっぱりお金のために日々動いていると、
すぐに心が辛くなってきてしまったんです。

そのほかにもいろいろなことをしました。

 

 

人がお金に見える

 

もう、どこかが雇ってくれるなんて、
全然思えませんでした。
中卒だし。

そもそも、
そんなふうに仕事を探す気力がありませんでした。

ネットワークビジネスでは、
一生懸命商品が好きなふりをして、
一生懸命素晴らし商品だと思い込もうとしました。

でも、
やっぱり商品がお金に見えてしまう。

そして、話している相手のことも、
お金に見えてきてしまう。

そんな状況がとても嫌でした。

だから、早々にやめてしまいました。

それから、プリンタの販売などもしていました。
これも別にやりたいことではありませんでした。

友達と会社をやっていた時にお世話になった人に連絡をして、
仕事をもらったりしました。
これは「人の役に立っている」という感覚があって、
やりがいを感じた仕事でした。

twitterを使ったアフィリエイトにも挑戦しました。
これは全然だめ。
売り上げはたしか200円程度でした(笑)

でも、全てが絶望的というわけではなかったんです。

というのも
僕は、ちょうど一文無しになった頃、
生まれて初めて「コーチング」というものと出会っていたんです。

それはいわゆるセッションのコーチングではなく、
PCで、web上で受講するタイプのコーチング。

「人には夢とやりたいことが必要だ」
と教えてくれたのはそのコーチングでした。

お金は本当になかったのですが、
そのプログラムを受講していたので、
なんとなく人生が前に進んでいる感じがありました。

 

 

コーチングと出会ったけど

本来の目的なんか一切考えず、
お金のためだけに働く。

これ、
何も結果が出ないパターンです。
最近よくわかりました。

多少のお金になったとしても、
結局楽しくないし幸せでもないから、
「人生こんなんでいいのかな」という気持ちになってきてしまいます。

唯一、前の仕事からのつながりで、
ウェアラブルカメラのwebマーケティングをしていたこと、
イヤホンのwebマーケティングをしていたこと、
これがやりがいを感じた仕事でした。

そんな中で、
僕はコーチングを学び始めていました。

人は「夢とやりたいこと」を原動力にして動くということ。

もっとドライに言えば、
快を得たくて不快を避けたい、ということ。

人生を成功させるためには、
お金じゃなくて、自分を好きでいられる自分になること。
大切にしたい価値観を明確にすること。

 

大切なことをたくさん学びました。
今でも学んでいます。

僕は、
もっともっと、自分のやりたいことをして生きたいと思うようになっていきました。
その気持ちにもっと正直になりたい、と思うようになりました。

でも、困ってしまったんです。

僕は、
自分が何をやりたいのか、

わからなかったんです。

 

 

新薬の実験台に

それと、一つ話し忘れていたことがあります。

僕は、ネットワークビジネスをやめて、
ある仕事をしようとしていましたが、
それをパートナーに必死で止められていました。

その仕事は何かと言うと、
「治験」です。

治験ってわかりますか?

新薬の実験台です。

病院に入院し、薬を飲みながら定期的に体の状態をチェックしてもらうだけで、
あとは寝っ転がっていてもゲームしてても、なんでもOK。
それでいて収入は結構いい。

そんなお仕事が、治験です。

その頃僕が申し込んだ治験は、
「花粉症治療薬」に関する治験で、
花粉症を持っている人だけが参加できるものでした。

25日間の入院で、50万円のお金がもらえるという、
その当時の僕にとっては非常に魅力的な仕事でした。

いや、
仕事だなんて思っていませんでした。
楽してお金がもらえると思っていました。

 

僕はこれに申し込み、
一次試験という、体調チェックとアレルギーチェックまで受けました。
その会場に集まっている人たちは、
やはり覇気のない人が多かったように思います。

血液検査をして、
交通費としてなぜか3000円ももらい。

あとは入院して薬を投薬されるだけ、
という状態まできたところで、
なぜかウェアラブルカメラの営業の仕事が増え、
結果治験には参加しませんでした。

営業の仕事は忙しくはなったけど、
お金もそれまで以上にもらえることになり、
結果的に治験はうけなくてよかったなーと、
今では思っています。

 

(続く)

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