ごま油の話(第6話)

ごま油の話(第6話)

前回の続きです。

 

 

仕事を辞めることに

12〜13年くらい前、
とにかくお金を稼ぎたかった中卒の僕は、
「学歴不問」で募集していた「健康食品の営業」の会社に就職しました。

そして、25歳の頃、
全国1300人の営業社員の中で、売り上げトップになりました。
1年間で1億7000万円分の健康食品を、一人で販売し、
その年の年収は800万円。

しかし、その800万円はほとんどすべて酒に消え、
残ったのはカードの借金と以前からの住宅ローン。
そして税金の支払い。

なんだかんだその仕事を28歳くらいまで続けましたが、
あることが起きました。

お客さんの家に訪問した時のことです。

「あんたから色々買ったけど、全然飲んでないのよー」
って。

「えー、うそでしょー?飲んでるでしょー?」
って言ったら、

「ほんとよー、ほら」
って。
押入れを開けるお客さん。

その中には、僕から買った健康食品が手付かずで残ってました。

「え?なんで?」

「別にね、健康食品が欲しくてお店に行ってるわけじゃないの。
 一人で家にいると寂しくてね。
 それで、あんた頑張ってるから、なんか孫みたいで。
 買わずにはいられないのよね」
って。

僕は、ただお金欲しさに仕事をして、
健康食品を売りまくる。
そして、結局こうして買った商品には手もつけずに、
お金だけを使うお客さんがいる。

この時です。
僕は非常に虚しくなりました。
「仕事って、なんなんだろう」って。

そういうお客さんばかりじゃないのはわかってるし、
頑張る姿を見せることで、多少は楽しませていたのかもしれない。

でも、仕事ってこうじゃないんじゃないか。
お金だけ欲しさにやっていたら、
結局「生きるために栄養を摂取する」っていうのと、
あんまり変わらないんじゃないか、
そう思いました。

そして、人間関係のゴタゴタなどもあり、
僕はその会社を退職することになりました。

 

 

消費者金融で借金をして詐欺師にお金を貸す

そして実は僕、
ある人にそそのかされてお金を騙し取られたのです。

その人は知り合いの知り合いでした。

服装はいつもちょっとだらしない感じですが、
話がいつも面白かったのを覚えています。

元電通マンで、
これから飛躍していくから手伝って欲しい、
ということでした。

僕は会社員として働きながら、
休日はその人とも働き始めました。

そのオフィスは虎ノ門にありました。

仕事の内容は、よくわかりませんでした。
ただ、とにかくこう言われたんです。

「社長になってほしい」

と。

その人がいうにはこうです。

これから起こす事業にはお金が必要で、
逆に言えばお金さえあれば上手くいく。

ただ、自分は信用情報に傷があり、
銀行からお金を借りることができない。

そこで、
社長になって、事業用資金として銀行からお金を借りてくれないか。
3000万円。

今思えば、なんでこんな話にひっかかったんだろう、
という話です(笑)

でも、その時の僕はお金のことしか考えてませんでした。

そして、
その3000万円の融資の件が、僕の住宅ローンだなんだでダメになると、
(ダメになってよかったー、笑)

今度は、
「月末を乗り切るためにお金が必要なんだ」
と言われ、
僕は消費者金融で借金をして、その人にお金を貸しました。

何回かに分けて貸したのですが、
結局その額200万円。

そしてその人はどこかにいなくなり、
全く連絡がつかなくなりました。

 

 

公共の利益のための仕事を始める

正直、
200万円で済んでよかったなーって思ってます。

だって、その人の魂胆は、
僕に銀行で3000万円借りさせて、
それをもって逃げようとしていたわけですから。

あーこわい(笑)

もう結局連絡は取れなくなってしまいましたが、
ま、いっか、って思ってます。

そんなこんなで、会社を辞めて、
僕は次の職場で働き始めました。

僕が2003年にバンドコンテストで全国で2位になった時に、
埼玉代表で出ていた「小次郎」というバンドのボーカル、
その名も「小次郎」(笑)

小次郎というバンドのボーカルが小次郎という人だったのです。

彼が、小さなITベンチャーを立ち上げていて、
そこで働いてくれないか、
ということで。

立川にあった会社なのですが、
そこでの日々は楽しかったり辛かったり、
という感じでした。

常にお金には困っていたのですが、
前の会社の時よりも、
「誰かの役に立ちたい」という思いが強くなってきていて、
そこでの仕事が公共事業に関するものだったので、
「公共の利益」って、なんだかいいな、
と感じていました。

ちょっと「貢献」の気持ちが芽生えていたのかもしれません。

 

 

その公共事業の人にはいえない秘密とは

健康食品の会社のときの、
いくら稼いでも心は「もっと稼がなければ」と渇望していた経験。

そして、カネカネカネってしていたら、
200万円を騙し取られた経験。

そんな経験から、

「誰かに喜ばれたり、役に立ったり、
 そういうことをしないで得たお金は、
 ろくに自分のためにならない」

ということをなんとなく学んでいました。

新しい会社は、
市町村と契約して、ガラケー用の公式サイトを作る、
という仕事でした。

広報などを携帯で見られるようにする仕事です。

東京都の立川市に会社があったのですが、
すでに東京都あきる野市との契約が決まっていました。

その会社に入ってからの僕は営業として。
市町村との契約が非常に得意になりました。

東京都の青梅市、武蔵村山市、日の出町、瑞穂町と、
契約を重ねていきました。

というと、
「お、中野はなんかすごいな」
なんて思ってもらえるかもしれませんが、

実はそうでもなかったんです。

そこにはある秘密があったのです。

(続く)

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