QOLを向上しよう

QOLを向上しよう

 

QOLを上げよう

QOL、という言葉があります。

これはQuality of Lifeの略で、
日本語にすれば「人生の質」のことを意味します。

文脈としてはよく医療に関することで使われる単語で、
ただ病気を治せば良いのではなく、
患者さんがより質の高い生活を送れるように考えましょうね、
というような意味合いで使われたりします。

実はQOLという言葉自体は、
医療に限定された言葉ではありません。

例えば大昔の哲学者であるソクラテスは、
「大切なのはただ生きることではなく、より良く生きることである」
というような言葉を残しています。

これこそがまさに、
QOLを向上する、という考え方です。

僕たちは人間ですが、
その前に動物です。
動物というのは、
「ただ生きる、とにかく生きる」=「死にたくない」
ということを常に原則に置いています。

つまり、たった一つの「生きる=死なない」という価値観を本能として生きている、
とも言えます。

ですが、人間というのは、
非常に価値観が多様化している生き物で、
その価値観の多様化こそが、まさに人間を人間たらしめているとも言えると僕は思います。

 

価値観とは

そもそも価値観とはなんなのか、と言うと、

「何に価値を感じるか、という個々人の感覚」

というふうに説明できると思います。

家族が大事だと言う人もいれば、
お金が大事だと言う人もいる。

時間が大事だと言う人もいれば、
健康が大事だと言う人もいる。

人は無意識にも、
常に様々なことに優先順位を決めて
それに基づいて行動をしようとします。

行動を「しようとする」という言い方をしたのは、
いつもいつもその通りに行動ができるわけではないからです。

例えば、
「明らかに体調が悪い。私にとって健康は何よりも大切だ。
 でも、健康を害してでも会社にはいかなくてはいけない。
 辛いけど、会社に行こう。」
みたいなシチュエーションがあるとします(ありがちですね)

この時、この人は「辛い」と感じるはずです。

なぜならば、
自分の価値観に反した判断を強いられているからです。

例えば、
価値観において、自身の健康よりも会社の発展の方に重きを置いている人がいるとします。

その人は、
自身の健康を害してでも会社の発展に寄与することに、
快感を覚えるかもしれません。
(個人的にはほどほどにしてほしい、と思いますが)

戦時中などは、
「お国のため」
という価値観が蔓延していました。

戦後は、
「日本の復興のため」
という価値観にあふれていました。

こうした時代を経て、
僕たちはより豊かな価値観を、個々人がそれぞれ持つようになった、
ということになります。

 

価値観には二種類ある

さて、先ほど、
「自分の価値観に反した判断を強いられている」
という書き方をしました。

でも、考えてみたらこれってちょっとおかしな話です。

なぜならば、
「強いられている」と言いつつも、
結局はその判断を下しているのは自分自身だからです。

どうしてそんなことが起きるのかというと、
「価値観」に合わない判断を自分自身に強要しようとする、
もう一人の自分のようなものが、
誰しもの心の中にいるからです。

このもう一人の自分のようなもの、について語り出してしまうと、
これはこれでもう一つコラムが書けてしまうので今日は割愛し、
「蓄積された古い価値観」
という呼び方をするにとどめたいと思います。

この「蓄積された古い価値観」は非常に頑固で、
本人が望む、望まないに関係なく、
その人を支配しようとする価値観です。

ですが、
その価値観がその人の幸せに、
必ずしも寄与するとは限りません。

なぜならば、
「蓄積された古い価値観」は、
本人の「幸せな経験」に発祥するものではないことがほとんどだからです。

 

自由意志による選択でQOLを向上する

さて、
なぜ価値観の話をずっとしているのかというと、
自分自身のQOLを向上するためには、
自分がどんな価値観を持っているのかを、
自分自身が把握することが大事だからです。

QOLは人生の質。

この人生の質を向上するには、
単純に「質の高い幸せを味わえる時間」を
増やしていく必要があります。

そして、
「質の高い幸せ」というのは、
その人の持つ価値観によって、
大きく変わってきます。

多くの場合、
価値観に沿った行動を取れたり、
価値観に沿った関係性の中に身を置けている時に、
人は感謝と幸せを感じられます。

人は、どんなときでも、
価値観に基づいて、優先順位をつけて物事を選択しています。

それは、気まぐれな選択をしている時や、
今は選択をしない、という選択をしている時も同じです。

ただ、その価値観というのは、
「本来の価値観」と「蓄積された古い価値観」
に分かれます。

そして、
「本来の価値観」に沿った選択をしている時は、幸せを感じやすく、
「蓄積された古い価値観」に沿った選択をしている時は、
その選択をさせられていると感じやすく、不満を覚えやすいのです。

わかりやすいのが、
・学校に行かねばならない
・会社に行かねばならない
・食事を作らねばならない
などです。

人間には自由意志があり、
大人になれば、全ての選択は自分自身が行なっています。

働き方も、
家族の中での身の置き方も、
そのほかのいろんな人間関係も、
全部自分自身が自由意志で決めています。

「こうせざるを得ない」
ということも当然あると思いますが、
それすら本来的には自由意志での選択です。

ただ、その時に、
「蓄積された古い価値観」による選択をしているのか、
「本来の価値観」による選択をしているのかは、
自分自身をよく省みることによってわかります。

大切なのは、
「この選択をする自分が好きだ」
と思える選択を繰り返すことです。

それをしていると、
自然とQOLは向上します。

間違えてはいけないのは、
「この選択が好きだ」という選択ではない、ということです。

タバコをやめたほうがいいと真剣に思いつつ、
タバコをやめられないのは、
タバコが好きだからです(それによって得られる感覚を含めて)

ただ、
その人が
「それでもタバコを吸い続けるという選択を繰り返す自分」
のことを好きかというと、それは別問題ですよね?

本当にタバコをやめたくて、
タバコをやめることができた自分の方が好きだ、と思えるのなら、
その選択をすることがQOLの向上につながります。

 

他人のQOLは向上できない

そしてもう一つ大事なのは、
「結局は自分のQOLは自分でしか向上することができない」
ということです。

幸せや感謝という感情の多くは、
自分以外の他人との関係性の中から得られます。
(全てではありません)

そして、
今ある自分の周りにある関係性は、
「自分の価値観の反映」です。

この場合にも、
「蓄積された古い価値観」

「本来の価値観」
が存在します。

「嫌だけど、この人と付き合わざるを得ない」
という自由意志による選択は、
多くの場合「蓄積された古い価値観」の反映です。

それすらも自由意志による選択です。
それに気づかない人、
誰かのせいにすることを続けたいが故に腑に落とそうとしない人は、
常に自分の周りの人間関係に文句を言い続けます。

全部自由意志による選択です。
なぜなら、人間だからです。

どんなに、自分を取り巻く人間関係の文句を言い続けても、
その人たちはあなたのQOLを向上してはくれません。

そして、
その人たちはあなたのQOLを、
下げてもいません。

繰り返しますが、
これは自由意志による選択の結果です。

では、
どうしたらそのQOLを向上できるのかというと、
その答えが、
「この選択をする自分が好きだ」
と思える選択を繰り返すことです。

 

直感に頼ってはいけない

「蓄積された古い価値観」に反した選択をしようとする時、
きっと心がムズムズとして、居場所が悪い感じがすることでしょう。

この時に、
「あ、この嫌な感覚から逃げなくては」
という「直感」に頼ってはいけません。

「直感」に頼っていいのは、
今までに「直感」による選択を信じ、
それによって幸せを味わってきた人だけです。

「直感」というのも「価値観」の反映だからです。

「蓄積された古い価値観」の反映が強い人は、
「直感」もそちらに引っ張られやすくなります。

そんな時な冷静に考えるのです。

「今この場面で、どの選択をする自分を好きと思えるだろうか」

と。

 

相互に幸せを感じられる関係性

繰り返しになりますが、
あなたのQOLは、誰も向上してはくれないし、誰かが下げることもありません。

ということは、
幸せをたくさん感じるための大前提には、
全ての選択は、自分自身の自由意志によって行われていて、
その自由意志と主体性を持って関わり合う、
ということがあります。

誰かが自分を幸せにしてくれることはないし、
自分が誰かを幸せにしてあげることもないのです。

そこにあるのは、
「相互が幸せを感じられる関係性」
です。

この関係性作りが
QOLの向上には不可欠で、
そういう関係性を主体性を持って作ろうという意思を持つことが大切です。

これは、
仕事でも、プライベートでも、何においても同じように言えます。

自由意志と価値観、
このキーワードでQOLの向上を考えてみてください。

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